「やめようと思っていて」と切り出したら、「今解約したら損ですよ」と返ってきた。そう言われると、自分の決めたことが急にあやしく思えて、「少し考えます」と答えて帰ってきた。そんな夜に読む記事です。
「今解約したら損」は、うそとはかぎりません。本当かどうかは、「損」を金額と時期に直してもらえば、自分で確かめられます。数字が出てこない「損」は、いったん保留にしてかまいません。
僕は2019年に、数字を1つも聞かないまま米ドル建ての保険を解約しました。戻ったのは、払った額より約18万円少ないお金です。解約を申し出たあとの1週間に、引き止めの電話が3回来ています。
先に断っておくと、その3回の電話で何を言われたかは、記録がないので書けません。「損」という言葉が出たかどうかも書けないので、この記事では、僕に残っている数字と、同じ年に相談の席で数字つきで「残したほうがいい」と説明された別の1本の話を書きます。
「今解約したら損」と言われたら、損がいくらで、いつまで続くのかを聞いてください。僕は保険の数字を聞かずに解約して、約18万円減らしました。
のろべえ|「みんなの保険見直し体験談」運営者。40歳・メーカーの総務で働く会社員。川崎市で妻と子ども2人と暮らしています。
- 2009年から保険を10年放置
- 夫婦の保険料は月43,600円
- 2019年に窓口を5か所回った
- 見直し後は月19,800円
- 2級FP技能士(2021年合格)
- 住宅ローンアドバイザー
仕事では社内の団体保険の取りまとめと年末調整を担当。証券を開いて、並べて、比べるところから書いています。プロフィールの続きを読む
「今解約したら損」と言われたとき、損の中身は3つある
「損」とひとことで言われても、指しているものは3つに分かれます。どれの話かが分かると、聞き返す言葉が決まります。
戻るお金が払った額より少ない
1つ目は、いま解約すると戻るお金が、払ってきた合計より少ないという意味の損です。生命保険文化センターの解説は、解約で戻るお金を「通常は払い込んだ保険料総額より少なく」と説明しています。2026年10月6日に確かめました。
同じページには、入って短い期間での解約や、保障が中心の保険では「まったくないか、あってもごくわずか」ともあります。
つまり、この意味の「損」は、多くの保険で当てはまる話です。大事なのは損かどうかより、いくら少ないのか、待てばその差が縮まるのかのほうです。
同じ条件ではもう入れない
2つ目は、やめたあとに同じ保険へ戻れないという意味の損です。同じ解説には、解約した契約は「もとに戻すこともできません」とあります。
もう一度入るときは、年齢が上がったぶん保険料が割高になったり、体の状態によっては契約できなかったりする場合がある、とも書かれています。
- 年齢が上がっている
- 体の状態が変わっている
- 同じ商品がもうない
3つのうちどれが自分に当てはまるかは、人によって違います。「もう入れない」と言われたら、どの理由なのかを聞くと、話が具体的になります。
やめた日から保障がなくなる
3つ目は、お金ではなく保障の損です。解約した時点で契約は消えて、そこから先の保障はなくなります。
次の保険が決まる前にやめると、どの保険にも入っていない期間ができます。僕が2019年に古い保険の特約をやめたのは12月中旬で、12月1日に新しい保険が成立したのを見てからです。
すでに別の会社へ乗り換えて、前の保険のほうがよかったのではと迷っている人は、保険の乗り換えを後悔したときの記事を読んでください。
「今解約したら損」の損は、戻るお金・入り直せるか・保障が切れる期間の3つに分かれます。どの損の話なのかを、言った人に聞いてみてください。
数字を聞かずに解約して約18万円減らした、僕の失敗談
僕は「損」を確かめないまま解約した側です。2019年の秋に起きたことを、残っている数字だけで書きます。
やめたのは、2015年7月に大学の先輩のすすめで入った米ドル建ての保険です。毎月の支払いは約15,000円でした。
| 2019年 9月中旬 | 解約を申し出る |
|---|---|
| そのあと 1週間 | 引き止めの電話が 3回 |
| 10月上旬 | 解約 |
| 払った額 | 約76万5,000円 |
| 戻った額 | 約58万5,000円 |
| 差 | 約18万円の マイナス |
戻った額を払った額で割ると、約76%です。これは僕が2つの数字から計算した割合で、約4年払って、4分の1近くが戻らなかったことになります。
解約を申し出たとき、僕が見ていたのは毎月の約15,000円だけでした。やめたらいくら戻るのかは、考えてもいませんでした。
電話は1週間に3回来ましたが、中身の記録は残っていません。3回目のころには、僕のほうが意地になっていました。
僕は米ドル建ての保険を、いくら戻るかを聞かないまま解約しました。損と言われて迷えるのは、まだ数字を聞ける場所にいるということです。
戻った額を妻に伝えた夜、返ってきたのは「だれかに聞いてからにすればよかったのに」のひとことです。そのとおりだと思いました。
失敗だったのは、解約したことそのものではありません。保険の相談窓口に行く前に、自分だけで決めてしまったことです。続けていたらどうなったかは、いまとなっては確かめようがありません。
言われた「損」が本当かを確かめる、4つの数字の聞き方
「損ですよ」に言い返す必要はありません。次の4つを、紙かメールでもらえるように頼むだけで足ります。順番に書きます。
いま解約すると戻る金額
最初に聞くのは、今日の時点で解約したら戻る金額です。「だいたい」ではなく、何月何日の時点でいくら、と日付つきで頼みます。
外貨建ての保険は、円に直した金額が為替で変わります。僕の米ドル建ての保険も、毎月の支払額が為替で動いていました。
これまでに払った合計
次に、これまで払い込んだ保険料の合計です。戻る金額と並べると、差がいくらなのかが自分の目で分かります。
僕の場合は、払った約76万5,000円と戻った約58万5,000円で、差が約18万円でした。この2つを解約の前に並べていれば、少なくとも金額を知ったうえで決められました。
- 戻る金額
- 払った合計
- その差
続けたら、いつ差がなくなるか
3つ目は、「今」ではなくいつなら損が小さくなるのか、です。「今解約したら損」には、「待てば変わる」という意味がふくまれていることがあります。
何年後に、戻る金額が払った合計に追いつくのか。それまでに払う保険料はいくらか。この2つを聞くと、待つ値打ちがあるかを自分の家計で考えられます。
これは、解約の前に聞かなかった僕が「聞いておけばよかった」と思っている問いです。保険会社がどこまで数字で答えてくれるかは、契約によって違います。外貨建てのように、先の金額が決まっていない保険もあります。
保障が中心の保険のように、追いつく時期がもともとない保険もあります。そのときは「損」の話ではなく、その保障がいまの家に要るかどうかの話に切りかえてください。
解約のほかに道があるか
4つ目は、やめる・続けるのほかに方法があるかです。生命保険文化センターの解説には、保障を小さくして保険料を軽くする「減額」や、払い込みをやめて保障の少ない保険に変える「払済保険」が紹介されています。2026年10月6日に確かめました。
払済保険にすると、付けている各種の特約は消滅すると書かれています(リビング・ニーズ特約は続くのが一般的、とのことです)。使えるかどうかも契約によって違うので、自分の契約でできるかを保険会社に確かめてください。
家計の節約のために保険をやめようとしている人は、節約で保険を解約するのが不安な人への記事で、残す保険の決め方を先に見てください。
「今解約したら損」と言われたら、戻る金額・払った合計・差がなくなる時期・解約のほかの方法の4つを紙でもらってください。保険の数字が4つそろえば、家で落ち着いて決められます。
「この保険はもう入れない」と言われたときに聞くこと
「もう入れない」は、理由を聞けば確かめられる言葉です。理由によって、聞く相手と確かめ方が変わります。
| 言われた理由 | 確かめること |
|---|---|
| 年齢が 上がった | いまの年齢での 保険料 |
| 体の状態 | 告知の内容で 入れるか |
| 昔の条件が いい | 何の条件が どう違うか |
昔の条件の話で出てくることがあるのが、予定利率という言葉です。生命保険文化センターの手引には、「予定利率が下がると、主契約などの保険料率が上がる場合があります」と書かれています。2026年10月6日に確かめました。
古い契約を「お宝保険」と呼ぶ言い方も耳にしますが、僕が開いた生命保険文化センターのページには、この呼び名での説明は見当たりませんでした。なので、どの契約がそれに当たるかを、この記事では言い切りません。
自分の契約がどうなのかは、「何の条件が、いまの保険とどう違うのか」を数字で聞くのが早道です。保険料なのか、戻るお金の増え方なのか、保障の中身なのか。答えが数字で返ってくれば、その「もう入れない」は確かめられる話です。
「この保険はもう入れない」と言われたら、年齢・体の状態・昔の条件のどれが理由かを聞いてください。保険の条件の違いは、数字で見せてもらえば自分でも比べられます。
同じ手引には、いまの保険を解約して新しい保険に乗り換えると、年齢が上がるぶん保険料が割高になる場合や、体の状態によっては新しく契約できない場合がある、とも書かれています。やめる前に、次に入れるかを確かめる順番が大事です。窓口で乗り換えをすすめられている人は、保険相談で乗り換えを勧められたらの記事に、返事の前に聞くことをまとめました。
僕が相談した窓口では、「残したほうがいい」に数字が付いていた
「やめないほうがいい」と言われて納得できたのは、数字と理由が一緒に出てきたときでした。2019年の秋に、保険見直し本舗の相談の席で聞いた話を書きます。
22歳で入った保険には、終身200万円の部分がありました。相談の席で聞いたのは、解約すると戻りは約21万円、払い込みを止めて残すと保障は約70万円、という2つの数字です。
残したほうが将来の保障が大きいと説明されて、払い込みをやめ、保障を約70万円に減らして残しました。葬儀の費用の一部にあてるつもりです。
| 解約する | 戻りは約21万円 |
|---|---|
| 払い込みを 止めて残す | 保障は約70万円 |
それまでの僕の頭には、やめるか、このまま払うかの2つしかありませんでした。2つの数字を知らないまま決めていたら、僕は約21万円のほうを受け取って、そこで終わらせていたはずです。
25歳で入った医療保険も、同じ席で「残す」と言われた1本です。理由は保険料の数字で、その日のことは保険を見直さなくていいと言われたい人への記事に書きました。
僕はこの年、同じ証券の束を持って相談窓口を5か所回りました。5か所の提案は、全部違いました。もし1か所で終えていたら、聞いた提案がふつうなのかどうか、僕には分からないままでした。
「損ですよ」と言った人の話が正しいかどうかも、同じです。その保険を売った会社の人の話と、ほかの会社の保険も扱う所の話を、並べて聞くと見え方が変わります。回り方は、保険相談のはしごは失礼かの記事に書きました。
僕が保険を残すと決められたのは、「残したほうがいい」に金額と理由が付いていたからです。損と言われた保険の証券は、別の相談窓口にも1回見せてみてください。
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参考記事:保険見直しサービスのおすすめ人気ランキングTOP10
「今解約したら損」と言われたときのよくある質問
- 保険を今解約したら損と言われました。本当ですか?
-
戻るお金が払った合計より少ないという意味なら、多くの保険で当てはまります。生命保険文化センターも、戻るお金は通常、払い込んだ保険料の合計より少ないと説明しています。いくら少ないのか、待てば差が縮まるのかを、数字で聞いて確かめてください。
- 今解約したら損と言われたのは、引き止めるための言葉ですか?
-
言った人の気持ちは、僕には分かりません。分かるのは、金額と時期を聞けば、その言葉が自分の契約に当てはまるかを確かめられることです。数字が出てくれば事実として受け取り、出てこなければ保留にしてかまいません。
- 今解約したら損と言われたら、何を聞けばいいですか?
-
いま解約すると戻る金額、これまでに払った合計、差がなくなる時期、解約のほかの方法の4つです。口頭ではなく、紙かメールでもらえるよう頼んでください。家で家族と見られる形にしておくと、その場で決めずに済みます。
- 今解約したら損と言われた保険が外貨建てです。待ったほうがいいですか?
-
待つか・やめるかは、この記事では決められません。外貨建ての保険は、円に直した金額が為替で変わるので、戻る金額は日付つきで聞いてください。僕は数字を聞かずに米ドル建ての保険を約4年で解約し、戻りが払った額より約18万円少なくなりました。
- 「この保険はもう入れない」と言われました。やめないほうがいいですか?
-
理由によります。年齢が上がったからなのか、体の状態なのか、昔の条件がいいからなのかを聞いてください。昔の条件の話なら、何の条件がいまの保険とどう違うのかを数字で見せてもらうと確かめられます。
- 今解約したら損と言われた保険は、お宝保険なのでしょうか?
-
僕が開いた生命保険文化センターのページには、お宝保険という呼び名での説明は見当たりませんでした。手引には、予定利率が下がると保険料率が上がる場合がある、と書かれています。自分の契約がどうなのかは、保険会社に条件の違いを数字で聞いてください。
- 今解約したら損と言われましたが、保険料を払うのが苦しいです。どうすればいいですか?
-
解約のほかに、保障を小さくする減額や、払い込みをやめて保障を小さく残す払済保険という方法があります。使えるかどうかは契約によって違います。僕は終身200万円の部分を、払い込みをやめて約70万円の保障にして残しました。
- 今解約したら損と言われて、別のプランをすすめられました。乗り換えていいですか?
-
その場で決めずに、資料を持ち帰ってください。生命保険文化センターの手引には、乗り換えると年齢が上がるぶん保険料が割高になる場合や、新しく契約できない場合があると書かれています。いまの契約をやめるのは、次の契約が成立してからにする順番が安心です。
- 今解約したら損と言われたことを、だれに確かめてもらえばいいですか?
-
まず、その保険の会社に数字を出してもらいます。そのうえで、ほかの会社の保険も扱う相談窓口に同じ証券を見せると、別の見方が聞けます。僕は同じ証券で5か所を回り、提案は全部違いました。
- 今解約したら損と言われましたが、もう解約の書類を出してしまいました。取り消せますか?
-
解約した契約は、もとに戻せないと生命保険文化センターは説明しています。書類が保険会社に着く前なら止められるかどうかは、会社によって違います。すぐに保険会社の窓口へ電話して、手続きがどこまで進んだかを確かめてください。
まとめ:「今解約したら損」は、金額と時期を聞けば確かめられる
「今解約したら損」と言われても、あわてて信じる必要も、はねのける必要もありません。損がいくらで、いつまで続くのかを聞けば、自分で確かめられます。
あらためて、この記事の内容をまとめます。
- 損の中身は3つに分ける
- 戻る金額と払った合計を聞く
- 差がなくなる時期を聞く
- もう入れないは理由を聞く
- 別の窓口にも証券を見せる
僕は数字を聞かずに解約して、約18万円減らしました。同じ年に、数字を聞いてから決めた終身の部分は、いまも約70万円の保障として残っています。違いは、決める前に数字が手元にあったかどうかだけです。
今夜は、証券を出して「戻る金額」と「払った合計」の2つを聞くメモを書いてください。言われた話をほかの会社の保険と比べたい人は、証券を持って相談窓口で1回見てもらう方法があります。相談だけで、何も変えずに帰ってもかまいません。
「今解約したら損」と言われて迷っている人は、解約の前に数字を聞ける場所にいます。僕のように保険を1人で解約する前に、証券をだれかに1回見せてください。
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証券を持って行くだけ


