総務から「団体保険の募集のお知らせ」が届く。締切は2週間後。先輩は「安いから入っとけ」と言うけれど、入るべきかどうかを決める材料が、手元にない。
ここで書くのは、会社を通して入る団体保険の話で、住宅ローンの団信の話ではありません。団体保険は、個人で入る保険より保険料が割安になる傾向があります。そのかわり、1年ごとの更新で、会社を辞めると原則として保障が終わります。
入るべきかどうかは、団体保険だけを見ても決まりません。いま持っている個人の保険と並べて、同じ保障が重なっていないかを見てからです。
僕は会社の総務で、社内の団体保険の取りまとめを担当しています。その僕が、自分の団体医療保険を数え忘れて、入院の保障を3本重ねていました。2020年4月に脱退するまでの話を書きます。
会社の団体保険に入るべきかは、個人の保険と並べると決めやすくなります。僕は団体医療保険を数え忘れて、入院の保障が3本重なっていました。
のろべえ|「みんなの保険見直し体験談」運営者。40歳・メーカーの総務で働く会社員。川崎市で妻と子ども2人と暮らしています。
- 2009年から保険を10年放置
- 夫婦の保険料は月43,600円
- 2019年に窓口を5か所回った
- 見直し後は月19,800円
- 2級FP技能士(2021年合格)
- 住宅ローンアドバイザー
仕事では社内の団体保険の取りまとめと年末調整を担当。証券を開いて、並べて、比べるところから書いています。プロフィールの続きを読む
団体保険は入るべきか|先に知っておく4つの性質
もとにしたのは、生命保険文化センターの「団体保険」の説明と、第一生命の公式コラムです。2026年10月6日に確かめました。
保険料は割安になる傾向
団体保険は、会社などの団体が契約者になり、そこに所属する人が入る保険です。死亡に備える団体定期保険や、入院に備える団体医療保険などがあります。
生命保険文化センターは、個人で契約する保険と比べて保険料が割安となる傾向にあると説明しています。第一生命のコラムでは、保険会社の業務の一部を会社が代わりに行うことと、団体の割引が理由に挙げられています。
任意で入る団体定期保険については、生命保険文化センターのエッセイに、加入者が多いほど割引率や配当率が高くなる傾向がある、と書かれています。配当金を受け取れる場合もあります。
ただ、「傾向」です。どの年齢でも、どの保障でも個人の保険より安い、とは書かれていません。
1年更新で、手続きは年1回
生命保険文化センターの説明では、団体保険の保険期間は1年で、団体に所属している間は毎年更新されます。一生続く形の保険ではありません。
加入や見直しは、決められた月(年1回など)にしか手続きができない場合が多いとされています。募集の締切を過ぎると、次は1年後になるかもしれません。
- 保険期間は1年
- 毎年更新される
- 手続きは年1回が多い
- 健康状態の告知が要る
- 付けられる特約は限られる
エッセイには、団体定期保険はクーリング・オフの対象外、とも書かれています。生命保険文化センターの別の説明でも、保険期間が1年以内の契約はクーリング・オフが使えない、とされています。
保険料が年齢とともに上がるかどうかは、今回見た資料には書かれていませんでした。募集の案内に保険料の表があるので、いまの年齢の欄と、10年後の年齢の欄を見てください。
退職すると原則終わる
生命保険文化センターの説明では、団体を離れると原則として保障は終了します。ただ、一定の年齢まで更新できる場合や、一定の個人向けの保険を契約できる場合がある、とも書かれています。
第一生命のコラムも同じで、原則は退職後に続けられないものの、会社の規程や保険の種類によっては続けられることもある、という説明です。
ある企業グループの団体医療保険の案内には、一定の条件を満たす人は退職後も続けて加入できる、と書かれていました。退職後の扱いは、会社によって違います。
自分の会社がどちらなのかは、募集の案内か、総務や取り扱いの代理店に聞くのが確かです。
「団体扱い」とは別のもの
よく似た言葉に「団体扱い」があります。こちらは、契約者が自分自身の個人の保険で、保険料を給与から引いてもらう形です。
| 団体保険 | 団体扱い | |
|---|---|---|
| 契約者 | 会社など | 自分 |
| 保険期間 | 1年更新 | 契約による |
| 退職後 | 原則終了 | 契約は 自分の物 |
給与明細に保険料が載っていても、どちらなのかは明細だけでは分かりません。団体扱いは個人の契約なので、証券が手元に届いているかどうかが1つの目安になります。団体扱いの保険を退職後にどう払うかは、保険会社に確かめてください。
団体保険は、保険料が割安な傾向があるかわりに、1年ごとの更新で、退職すると原則終わります。退職後の扱いは会社によって違うので、募集の案内で確かめてください。
総務の僕が団体保険を数え忘れた体験談
ここからは、僕の失敗です。社内の団体保険を取りまとめる側にいながら、自分の分を見ていませんでした。
証券がないので数に入らなかった
僕が入っていたのは、会社の団体医療保険です。入院1日あたり5,000円の保障で、保険料は月1,800円。給与から天引きされていました。
2019年8月に住宅ローンの書類を整理した日、僕が初めて床に並べた証券は、夫婦で5本でした。合計は月43,600円です。
この5本の中に、団体医療保険は入っていません。証券がないので、最初は数に入れていませんでした。給与明細の控除の欄に、毎月1行あるだけの保険です。
総務として、同僚十数人の証券を一覧表にする作業を手伝ったこともあります。人の表は作るのに、自分の表には1行足りなかったわけです。
僕の入院保障は3本で1日2万円
団体医療保険を足すと、僕の入院の保障は3本になりました。
| 保険 | 入院1日 | 月額 |
|---|---|---|
| 入社時の 保険の特約 | 5,000円 | 11,200円 の一部 |
| 個人の 医療保険 | 1万円 | 3,900円 |
| 会社の 団体医療 | 5,000円 | 1,800円 |
入院すると、1日あたり合計2万円が出る形です。3本を足したのは、このときが初めてです。
個人の医療保険は、2012年に先輩に頼まれて入ったものです。すでにある入院の保障とほぼ同じ内容で、重なりに気づいたのは7年後でした。
2020年4月の更新時期に脱退
重なりは、相談窓口で整理してもらいました。3本のうち残したのは、個人の医療保険です。
この保険は、25歳のときの保険料のまま一生上がりません。入り直すと高くなるので残す、という整理でした。入社時の保険の特約は、新しい保険が成立したあとの2019年12月中旬に解約しています。
団体医療保険を脱退したのは、2020年4月です。年に1回の更新の時期でした。見直しの申込みをしたのは2019年11月なので、5か月ほどあとになります。
- 2019年11月 見直しを申込
- 2019年12月 特約を解約
- 2020年4月 団体を脱退
月1,800円は、大きな金額ではありません。ただ、数え忘れていた保険に、毎月払っていたお金です。
僕は会社の団体医療保険を数え忘れて、入院の保障が3本、1日あたり合計2万円になっていました。団体保険は証券がないので、給与明細で確かめてください。
団体保険に入るか迷った3名の体験談
団体保険に入るか迷った3名に、決めるまでの経過を聞きました。入口として入った人、医療だけ見送った人、全部に丸をつけた人の順に紹介します。
20代独身:入口として入った
20代の会社員で、独身です。入社2年目の秋に、団体保険の募集の案内が回ってきました。個人の保険は、何も持っていませんでした。
入院に備える保障を選ぶと、月に約1,500円です。申し込む前に、会社を辞めたらどうなるかを総務に聞きました。原則として終わる、という答えでした。
締切の3日前に申し込んでいます。手帳には「辞めるときに個人の保険を考える」と書きました。いまも続けていて、毎年の募集の案内で保険料の欄だけは見ています。
30代既婚:医療だけ見送った
30代の会社員で、子どもが1人います。募集の案内を見て、医療と死亡の両方に入るつもりでした。妻に話すと、親が入れてくれた保険があるはずだと言われています。
実家に電話して、証券の写真を送ってもらいました。入院1日あたり5,000円の医療保険が、1本ありました。団体の医療の保障と、ほぼ同じ内容です。
医療は見送り、死亡に備える団体の保険だけに入りました。月に約2,000円です。証券を見ないまま両方に丸をつけていたら、重なりに気づかなかったと思います。
20代独身:全部に丸をつけた
20代の会社員で、独身です。入社した年に、まわりが入っているのを見て、案内の全部の欄に丸をつけました。月に約6,000円が、給与から引かれています。
3年たって、何が起きたときにいくら出るのかを、自分で言えないことに気づきました。次の募集のときに案内を読み直して、保障を一部減らしています。
最初の年に案内を読んでいればよかった、というのが反省です。残した分が自分に合っているのかは、いまも自信がありません。
団体保険に入るべきか迷ったら、並べる3つ
入る前の人も、すでに入っている人も、見る物は同じです。募集の案内と、個人の保険の証券を、同じ机に置いてください。
- いまある個人の保険
- 団体保険の保障と保険料
- 退職後にどうなるか
1つ目は、いま持っている個人の保険です。親が入れてくれた保険や、入社のときに入った保険も数えます。同じ入院の保障、同じ死亡の保障がすでにあるなら、団体保険を足すと重なります。
2つ目は、団体保険の中身です。何が起きたときにいくら出るのか、保険料はいまの年齢でいくらか。どちらも募集の案内に書いてあります。
3つ目は、退職後です。団体保険だけに頼っていると、辞めたときに保障が何もなくなることがあります。そのとき年齢が上がっていたり、病気をしていたりすると、個人の保険に入り直しにくくなります。
| いまの状況 | 考え方の例 |
|---|---|
| 個人の保険が 何もない | 割安に備える 入口になる |
| 同じ保障が もうある | 重なりを 先に確かめる |
| 転職や退職を 考えている | 退職後の扱いを 先に聞く |
どれに当たるかで、答えは変わります。「みんな入っているから」だけで決めると、何に備える保険なのかが手元に残りません。僕は入ったあと、自分の団体医療保険を数え忘れていました。
自分で並べてみて、重なっているのかどうかが分からなければ、複数の会社の保険を扱う相談窓口で、個人の保険と合わせて見てもらう方法があります。団体保険は証券がないので、募集の案内か、加入者証、給与明細を持って行くと話が早く進みます。
団体保険に入るべきか迷ったら、いまある個人の保険、団体保険の中身、退職後の扱いの3つを並べてください。同じ保障がもうあるなら、足す前に重なりを確かめます。
団体保険をやめる前に確かめること
すでに入っていて、やめようか迷っている人に向けて書きます。重なっていても、順番をまちがえると保障のない期間ができます。
僕が気をつけたのは、順番です。新しい保険が2019年12月1日に成立したのを確かめてから、古い保険の特約を解約しました。団体医療保険の脱退は、そのあとの2020年4月です。
先にやめてから次を探すと、健康状態によっては次に入れないことがあります。団体保険をやめて個人の保険に入る人は、個人の保険の成立を先に待ってください。
- 脱退できる時期はいつか
- 次の保険は成立しているか
- やめたあと入り直せるか
- 家族の分も一緒に消えないか
脱退の手続きができる時期は、会社によって違います。年1回の更新のときだけ、という会社もあるので、総務か代理店に聞いてください。
家族も一緒に入っている場合は、本人がやめると家族の保障がどうなるかも確かめます。ここも、団体ごとに決まりが違う所です。
やめないほうがいい場合もあります。個人の保険が何もない人にとって、団体保険は割安に備えられる入口です。僕がやめたのは、同じ入院の保障が個人の保険にあったからで、団体保険が悪かったからではありません。
団体保険をやめるときは、次の保険が成立してから脱退してください。僕は新しい保険の成立を確かめてから、2020年4月の更新時期に団体医療保険を脱退しました。
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参考記事:保険見直しサービスのおすすめ人気ランキングTOP10
団体保険に入るべきか迷う人のよくある質問
- 会社の団体保険は得ですか?入るべきですか?
-
個人の保険が何もない人には、割安に備えられる入口になります。同じ保障をすでに持っている人は、重なりを確かめてからです。退職すると原則終わる点も見てください。
- 団体保険は、なぜ保険料が安いのですか?
-
第一生命の公式コラムでは、保険会社の業務の一部を会社が代わりに行うことと、団体の割引が理由に挙げられています。生命保険文化センターは「割安となる傾向」と説明しています。
- 団体保険は、退職したらどうなりますか?
-
原則として保障は終わります。ただ、一定の年齢まで更新できる場合や、個人向けの保険を契約できる場合もあります。会社によって違うので、募集の案内で確かめてください。
- 団体保険に入っていれば、個人の保険は要りませんか?
-
団体保険は1年ごとの更新で、退職すると原則終わります。辞めたあとの保障をどうするかまで考えて決めてください。必要な保障は、家族や収入で変わります。
- 団体保険と個人の医療保険に、両方入ってもいいですか?
-
両方に入ること自体はできます。ただ、同じ入院の保障が重なっていないかは見てください。僕は団体と個人を合わせて、入院の保障が3本重なっていました。
- 団体保険は、いつでも入ったりやめたりできますか?
-
生命保険文化センターの説明では、加入や見直しは、決められた月(年1回など)にしか手続きができない場合が多いとされています。僕が脱退したのも、年1回の更新の時期でした。
- 団体保険に入るとき、健康状態の告知は要りますか?
-
生命保険文化センターの説明には、個人で契約する保険と同じく、健康上の告知が必要と書かれています。告知の項目や方法は団体ごとの募集の案内で確かめてください。
- 団体保険に入ると、病気のことなどを会社に知られますか?
-
告知の中身を会社がどこまで見るかは、今回見た資料では確認できませんでした。気になる人は、取り扱いの代理店か保険会社に聞いてください。
- 団体保険に入っているか分からないときは、どこを見ますか?
-
給与明細の控除の欄を見てください。団体保険は証券が手元にないことがあり、僕も数に入れ忘れました。加入者証や、会社からの更新の案内でも確かめられます。
- 団体保険と団体扱いの保険は、何がちがいますか?
-
団体保険は、会社などが契約者です。団体扱いは、自分が契約者の個人の保険で、保険料を給与から引いてもらう形です。
まとめ:団体保険は、個人の保険と並べてから決める
団体保険は、保険料が割安な傾向があるかわりに、1年ごとの更新で、退職すると原則終わります。入るべきかどうかは、いま持っている個人の保険と並べると決めやすくなります。
あらためて、この記事の内容をまとめます。
- 保険料は割安な傾向
- 1年更新で手続きは年1回
- 退職すると原則終わる
- 退職後は会社によって違う
- 個人の保険と並べて決める
募集の締切は年に1回のことが多く、決める時間は長くありません。ただ、一度入ると給与から引かれるだけになり、僕は取りまとめる側にいながら、自分の分を数え忘れました。
個人の保険の証券と、団体保険の募集の案内を、同じ机に並べてください。重なりが自分で分からなければ、証券と案内を持って相談する方法があります。
団体保険に入るべきかは、個人の保険と並べると見えてきます。僕は団体医療保険を足し忘れて、入院の保障が3本重なっていました。
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